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不動産活用

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💡 不動産購入・活用の2つのメリット

争族対策の観点から見た、不動産購入・活用のメリットは以下の2点に集約されます。

1. 相続税評価額の引き下げ(節税効果)

  • 効果: 現金や有価証券は原則として「時価」が相続税評価額となりますが、不動産(特に賃貸用不動産)は、時価よりも低い評価額になる特例があるため、全体の相続税額を大きく減らせます。

    • 土地: 貸家建付地として評価減を受けられます。

    • 建物: 固定資産税評価額(建築費の50~70%程度)が基礎となり、さらに賃貸部分には借家権割合による評価減が適用されます。

  • 争族対策への影響: 相続税の負担が軽減されると、納税資金の確保をめぐる争いや、相続税の支払いによる家族の負担感からくる不満を減らすことができます。

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2. 収益性の確保と納税資金の準備

  • 効果: 賃貸マンションやアパートを購入・建設することで、安定した家賃収入が得られます。

  • 争族対策への影響:

    • この収入を将来の相続税の納税資金として貯めておけば、相続人が急いで不動産を売却する必要がなくなり、円満な分割を助けます。

    • また、残された相続人の生活の安定にもつながり、争いの原因を減らせます。

👨‍👩‍👧‍👦 争族対策における具体的な活用ケース

不動産購入・活用が有効なケースと、その運用方法を解説します。

1. 現金の評価を下げ、収益資産に変えたいケース

  • 状況: 現金・預貯金が多額にあり、このままでは高額な相続税が発生しそうな場合。

  • 活用方法:

    1. 現金を使い、賃貸用のアパートやマンション(特に立地や収益性の良いもの)を購入または建設します。

    2. これにより、現金の「時価」評価を、評価額の低い「賃貸不動産」の評価に変え、相続税評価額を大きく圧縮します。

  • 争族対策への注意点: 後述の「分割しにくい」デメリットが最も顕著に出るため、「誰が相続するか」「どうやって分けるか」をあらかじめ決めておくことが必須です(例:遺言書で特定の相続人に渡す、または区分所有マンションを複数購入し、1戸ずつ分割できるようにする)。

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2. 「小規模宅地等の特例」を活用したいケース

  • 状況: 被相続人が自宅の土地を所有しており、事業用または居住用として特定の相続人に承継させたい場合。

  • 活用方法:

    1. 自宅の敷地を同居の親族が相続する場合(または事業を引き継ぐ親族が事業用敷地を相続する場合)、「小規模宅地等の特例」を適用できるように要件を整えます。

    2. この特例が適用されると、土地の相続税評価額が最大80%減額されます。

  • 効果: 自宅などの特定の財産の評価額が大きく下がり、他の財産を現金で他の相続人に公平に分ける余裕が生まれます(代償分割のしやすさ)。これにより、「分けにくい自宅」をめぐる争いを避けられます。

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3. 低評価の不動産を処分するケース(積極的な購入ではないが重要)

  • 状況: 遠隔地にある管理が大変で収益性の低い不動産(田舎の土地、古い空き家など)がある場合。

  • 活用方法:

    1. 生前にこれらの**「負の遺産」となる可能性のある不動産を売却**し、現金化します。

    2. 売却で得た現金の一部を、分割しやすい金融資産(預貯金、生命保険など)に換えたり、収益性の高い不動産に買い替えたりします。

  • 効果: 相続人同士で「いらない不動産」を押し付け合い、揉めることを事前に防げます。

⚠️ 不動産活用における最大の注意点(争族リスク)

不動産購入を争族対策として行う際、最大の注意点は、不動産が「分割しにくい財産」であることです。

  • 問題: 現金1億円は1,000万円ずつ10人に平等に分けられますが、1億円のマンションは分けられません。

  • リスク: 誰がその不動産を相続するのか、また、他の相続人にいくら支払うのか(代償金)で、必ず争いが発生する原因となります。

争族リスクを避けるための対策

  1. 遺言書による明確な指定: 「この賃貸アパートは長男に相続させる」など、誰に何を渡すかを明確に指定した遺言書を公正証書で残すことが必須です。

  2. 分割しやすい物件の購入: 1つのアパートではなく、複数の区分所有マンションを複数購入し、相続人に1戸ずつ平等に渡せるように工夫する方法もあります。

  3. 生命保険との組み合わせ: 不動産を相続しない他の相続人に対して、その取り分に相当する現金を生命保険金で渡す「代償分割の準備」を組み合わせるのが、最も強力な争族対策になります。

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不動産活用は、相続税対策として非常に強力ですが、必ず「家族信託」「生命保険」などの分割対策とセットで検討するようにしてください。

建築業者/不動産会社のコンペ

計画が決まったら、実際に不動産を購入・建設する業者を選定します。

① コンペで選ぶ専門家

  • 建築業者(ハウスメーカー・工務店): 新築アパート・マンションを建てる場合。

  • 不動産仲介会社: 中古の収益不動産や土地を購入する場合。

② コンペの進め方と依頼内容(建築業者コンペの例)

ステップ実施内容目的

1. 建築条件の提示前述の計画策定フェーズで決定した土地の条件、収益目標、予算上限などを提示します。業者間で公平な比較ができるよう条件を統一する。

2. 建築プランの提出

各社に以下のプランの提出を求めます。

・間取り図、外観パース、仕様書

・建築費総額と維持管理費

・賃貸経営計画(満室時の想定家賃収入、利回り)

・保証・アフターフォロー体制

コストパフォーマンスと設計の質を比較する。

3. 業者選定の評価提示された建築費の妥当性、賃貸経営計画の実現性(甘すぎないか)、そして会社の信頼性を総合的に評価します。最もリスクが低く、質の高い建築を実現できる業者を選ぶ。

③ 選定のポイント

  • 建設後の保証と管理: 建物に瑕疵があった場合の保証内容や、完成後の賃貸管理(入居付け、修繕)をしっかり行える体制があるか。

  • 相続税対策の理解: 提示されたプランが、税理士と決めた「相続税評価が最も低くなる」仕様(例:容積率の活用、建築費の適切な配分)を満たしているか確認します。

適切なコンペを行うことで、家族全員が納得できる公正なプロセスを経て、最適な相続対策不動産を選定することが、「争族の火種」を未然に摘むための最初の一歩となります。

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