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生命保険活用

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生命保険が「争族」対策として優れているのは、主に「受取人固有の財産」という性質と「現金で確実に渡せる」点にあります。

💡 生命保険活用の3つのメリット

争族対策における生命保険の主なメリットは以下の通りです。

  1. 遺産分割協議の対象外

    • 死亡保険金は、原則として受取人固有の財産とみなされ、遺産分割協議を待たずに、指定された受取人が保険金を迅速に受け取ることができます。

    • これにより、他の相続人との話し合いによるトラブルを避け、確実に希望の相手に財産を渡せます。

  2. 現金による公平性の担保(代償分割への活用)

    • 不動産や非上場株式など、分けにくい財産を特定の相続人に集中させる場合、他の相続人にはその公平性を保つための代償金が必要になります。

    • 生命保険金は現金で支払われるため、この代償金の確実な原資として活用でき、「不公平感」からくる争族を防げます。

  3. 非課税枠の活用

    • 法定相続人が受け取る死亡保険金には、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、節税対策としても有効です。

👨‍👩‍👧‍👦 争族対策における具体的な活用ケース

生命保険が特に力を発揮する具体的なケースを2つご紹介します。

1. 分けにくい財産を特定の相続人に渡したいケース(代償分割の準備)

  • 状況: 財産の大部分が自宅などの不動産や会社の自社株で、これらを一人の相続人(例:家を継ぐ長男、会社を継ぐ後継者)に渡したい場合。

  • 問題: 不動産や自社株を相続しなかった他の相続人(例:長女、次男)が、「自分の取り分がない」「不公平だ」と感じ、遺産分割で揉める可能性があります。

  • 活用方法:

    1. 不動産などを相続する人(長男)を保険金の受取人に指定し、他の相続人の法定相続分に相当する金額を保険金として設定します。

    2. 長男は、受け取った保険金を原資として、他の相続人(長女、次男)に代償金を支払います。

  • 効果: 不動産などの財産は円滑に承継され、他の相続人も現金(保険金)を受け取れるため、公平感が保たれ争族を防げます。

2. 特定の相続人に確実に現金を渡したいケース(遺留分対策)

  • 状況: 遺言で特定の相続人(例:献身的に介護してくれた長男の配偶者、特定の子)に多くの財産を渡す意思があるが、他の法定相続人からの遺留分侵害額請求(最低限もらえるはずの財産を請求する権利)が予想される場合。

  • 問題: 遺留分侵害額請求があった場合、請求された側は現金で支払う義務がありますが、財産が不動産ばかりだと、急いで不動産を売却する必要が生じ、トラブルになることがあります。

  • 活用方法:

    1. 遺留分を請求される可能性がある相続人(多く財産を受け取る人)を保険金の受取人に指定します。

    2. 遺留分請求で支払う可能性のある金額を想定し、保険金額を設定します。

  • 効果: 受取人は保険金を現金で受け取るため、万が一、遺留分侵害額請求が発生しても、その支払いに充てる資金をスムーズに確保でき、争族の長期化を防げます。

📝 争族を避けるための生命保険活用ステップ

争族対策として生命保険を活用するためには、以下のステップを踏むことが重要です。

  1. 財産状況の把握と分析:

    • 不動産、預貯金、株式など、現在の財産を正確にリストアップします。

    • 特に分割しにくい財産の評価額と、現金化できる財産の割合を確認します。

  2. 相続人の意思と希望のヒアリング:

    • 誰にどの財産を渡したいか(被相続人の意思)と、各相続人が何を望んでいるか(相続人の希望)を把握します。

  3. 保険金額と受取人の決定:

    • 代償金や遺留分対策に必要な金額を算出し、その金額に合わせた保険を設計します。

    • 保険金を受け取らせたい人(代償金を支払う側、または確実に現金を渡したい人)を受取人に指定します。

  4. 契約・保険料の支払い:

    • 一般的には、被相続人(財産を遺す人)が契約者となり、保険料を支払う形が、相続税の非課税枠を活用できるため有利です。

生命保険は、遺言書と並んで、ご自身の意思を確実に、かつ円滑に実現するための強力な手段となります。

具体的な保険商品の選定や、税制上の詳細な検討については、税理士やFP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家に相談されることをお勧めします。

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