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リースバック(売却/代償分割)

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リースバック(セール・アンド・リースバック)は、自宅を売却した後も賃貸として住み続けられる仕組みで、争族対策としても非常に有効な手段です。

これは、主に「不動産の現金化」と「居住の継続」を両立させたい場合に大きなメリットがあります。

💡 争族対策におけるリースバックのメリット

リースバックを活用する主なメリットは、以下の3点です。

1. 不動産の現金化による「分割しやすさ」の確保

  • 効果: 居住している自宅という「分割しにくい」資産を、生前に「現金」という「分割しやすい」資産に換えられます。

  • 争族対策への影響:

    • 自宅を売却することで、遺産総額に占める現金の割合が増え、相続人全員に公平に分割する原資を確保できます。

    • 誰が自宅を相続するかで揉めることを根本的に避けられます。

2. 生前の納税資金・生活資金の確保

  • 効果: 売却で得た現金を、将来の相続税の納税資金や、老後の生活資金として利用できます。

  • 争族対策への影響: 相続税の納税資金が不足すると、相続人は急いで不動産を売却したり、親族間で金銭的な調整が必要になったりして、争いの原因となります。生前に納税資金を準備しておくことで、このリスクを回避できます。

3. 公平な財産分配の実現(代償分割の準備)

  • 効果: 不動産が全て現金化されるため、遺言書などで「長男に〇円、長女に〇円」といったように、金額ベースでの明確な分配が可能になります。

  • 争族対策への影響: 生命保険と同じく、この現金を代償分割(特定の財産を承継しない相続人に金銭を支払うこと)の原資として確保しておけば、兄弟姉妹間での「不公平感」を最小限に抑え、円満な相続を実現できます。

👨‍👩‍👦 争族を避けるためのリースバック活用方法

リースバックを争族対策として活用する具体的なステップと運用方法をご紹介します。

1. 現金化と遺言による公平分配

  • 目的: 自宅に住み続けながら、財産を現金化し、揉めないように生前に分配方針を固める。

  • 活用方法:

    1. 自宅をリースバックで売却し、まとまった現金を確保します。

    2. 売却後も、賃貸としてそのまま自宅に住み続けます。

    3. 売却で得た現金と他の財産について、誰にいくら渡すかを明確にした遺言書(公正証書遺言が望ましい)**を作成します。

  • 効果: 自宅の評価額が変動するリスクや、特定の相続人が不動産を承継することによる不公平感がなくなります。

2. 相続人への生前贈与の原資とする

  • 目的: 争族対策として有効な生前贈与の資金を確保する。

  • 活用方法:

    1. リースバックで自宅を売却し、現金を確保します。

    2. この現金を原資として、暦年贈与(年間110万円までの非課税枠)や相続時精算課税制度などを利用し、計画的に相続人に生前贈与を行います。

  • 効果: 相続財産自体を生前に減らせるため、相続税の節税になり、争いの原因となる財産自体を減らすことができます。

3. 納税資金の確保と生命保険の組み合わせ

  • 目的: 相続税の納税資金を確保し、不動産以外の渡し方を準備する。

  • 活用方法:

    1. リースバックで得た現金を、確実に納税資金として使えるよう管理します。

    2. この現金の一部を、一時払い終身保険などの生命保険に充て、非課税枠の活用と特定の相続人への確実な現金承継を組み合わせます。

  • 効果: 納税資金と分割対策の二重の準備ができ、争族のリスクを大幅に減らせます。

⚠️ リースバック利用時の注意点

リースバックは有効ですが、以下の点に注意が必要です。

  • 賃料設定: 売却後の賃料は、一般的に周辺相場よりも高くなる傾向があり、家賃を払い続けられるかを慎重に検討する必要があります。

  • 買戻し特約: 将来的に自宅を買い戻す権利を設定できる場合がありますが、その条件(買戻し価格や期間)について契約時に明確にしておく必要があります。

リースバックは、「住み続けたい」という希望と「争族を避けたい」という希望を両立させる点で非常に優れた手段です。具体的な計画を立てる際は、不動産会社や税理士などの専門家に相談し、最適な賃料や売却価格、税務上の影響を確認しながら進めることをお勧めします。

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